最適制御の中心課題の一つである「線形二次制御問題」の新解法について研究を進めた。主問題に関するリカッチ代数方程式が解をもつときにのみ適用可能な既存解法と比べ、提案手法がリカッチ代数方程式が解をもたない場合でも、主問題を解くことができることを示した。提案手法は、非拡大写像と呼ばれる非線形写像の不動点集合上の最適化に関する反復手法「不動点最適化アルゴリズム」をもとに構成されている。 この研究成果は、現在、ジャーナルに投稿中である。リカッチ代数方程式が解をもたないような主問題の応用例の一つはTCP制御に関するネットワーク資源割り当てが考えられ、今後は、提案手法を次世代ネットワークの制御や設計に利用できるように修正することが求められるであろう。 そのような観点から、不動点最適化アルゴリズムのネットワーク資源割り当てへの応用についての研究も進めた。例えば、ネットワーク帯域幅割り当て問題を非拡大写像の不動点集合上の非凸最適化問題として定式化し、その問題を解くための不動点最適化アルゴリズムとその収束解析を提案した(研究成果はIEEE Communications Lettersに掲載決定)。 不動点最適化アルゴリズムの電力割り当てへの応用については、電力割り当て問題を非拡大写像の不動点集合上の非凸最適化問題として定式化し、その問題を解くためのアルゴリズムとその収束解析を提案した(Mathematical Programmingに掲載決定)。
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