研究概要 |
平成21年度においては,ストレッチを受ける細胞のリアルタイムその場観察に用いるためのデバイス開発において,特にデバイス製作上のボトルネックとなっていた歩留まり向上を目指した改良を行った.具体的には,フォトリソグラフィを基礎とする製作プロセス上で加工欠陥となりやすい部分を無くすための構造設計変更を行った.また,各部品間のクリアランスを最適化することで,歩留まりを向上させつつ,動作不良を低減させることに成功した.また,試作したデバイス上での細胞培養実験を行ったところ,細胞伸展薄膜上での細胞接着に問題が生じることが分かったが,その問題に対しては,デバイス全体を熱水に浸して処理することで,シリコーンゴム中の残留酸素原子を除去するプロセスを考案し,その結果として細胞接着性が改善できることを確認した. これらの成果は,学術論文International Journal of Mechanical Science誌へ投稿し掲載された.また,学会発表では,日本機械学会主催の福祉工学シンポジウム2009にて講演発表を行い,その内容および講演が事前審査と発表審査会によって高く評価されベストプレゼンテーション賞を受賞した. 本年度の研究によって,デバイス開発フェイズは完了とし,次年度より実際に開発したデバイスを用いた,細胞応答のリアルタイム観察に移行する.実験に必要な機材等は本年度の物品費にて購入済みであり,次年度の研究を進める上での問題点はない.
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