研究概要 |
高分子系先進複合材料骨の損傷・劣化に対する対策のコンセプトを根本的に変えるアプローチとして,複合材料内部にセンサ・プロセッサ・アクチュエータの各機能を組み込むことで,自己診断性・自己修復性といった高度な機能を付与することが考えられる.これにより,航空機・船舶・自動車などの複合材料一次構造部材に更なる軽量性・高破壊特性・高信頼性を付与し,ひいては,これらの部材の長寿命化・高燃費化によって地球環境の維持や化石燃料の節約に寄与できるものと期待される.本研究では,応力場開閉型チャネルを有するマイクロカプセルを開発し,これを高分子系先進複合材料に組み込むことで,繰返し損傷の自己修復が可能なスマート複合材料を創製する原理を確立することを目的とした.2年目の成果は,以下のように要約される. 1)前年度に確立した方法で作製したマイクロカプセルに対して,第三相磁性体としてマグネタイトや鉄粉を混入させて除去する方法や微小な針を用いて直接膜材を貫通させる方法を用いて,マイクロカプセルに微小な穴をあけることができた. 2)前年度に確立したマイクロカプセルの引張変形・破壊挙動その場観察方法を用いて,透明な高分子中に穴をあけたマイクロカプセルを分散させた試験片の静的引張試験をおこなった.その結果,試験片に100[N]の引張荷重を加えた瞬間にマイクロカプセル膜上の穴から核剤を流出させることに成功した. 3)透明な高分子中に穴をあけたマイクロカプセルを分散させた試験片に繰返し負荷を与え,その際のマイクロカプセル膜上の穴からの核剤流出挙動をその場観察した.その結果,核剤を繰返し漏出させることに成功した.
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