本研究では、タービンの超高サイクル疲労の問題を解決するために、1000℃まで試験可能な超音波疲労試験機の開発を行っている。本研究により、これまでは不可能であった1000℃における高速・超高サイクル疲労試験が可能となり、各種タービンの信頼性向上や開発期間の短縮に繋がることが期待されている。研究計画に従い、今年度は試験機の作製を行った。 具体的には、既存の超音波疲労試験装置に対して、以下のような改造を行った。 1、制御ソフトの作製 高温条件下で超音波疲労試験を行うには、ヤング率の温度依存性が問題となるため、制御ソフトを新たに作製する必要があった。ここでは、当初目的の機能を付与しただけでなく、ヤング率の温度依存性の測定値も不要となる+αの機能を付与した制御ソフトの作製に成功した。 2、耐熱ホーンの作製 ホーンの作製に当たっては通常は断熱のために水冷機構を付与する必要があるが、その場合には漏水事故の危険性が高かった。それに対して、ホーン形状と装置構成を工夫することにより、水冷無しでも使用できる耐熱ホーンの開発に成功した。 3、端面変位測定方法の開発 通常の渦電流方式ではワーキングディスタンスが短いため高温での測定は困難であった。そこで、ワーキングディスタンスを長くとれる特殊な変位計を用いることにより、高温条件下でも測定可能な端面変位の測定方法の開発に成功した。 以上の開発過程では熱電対の断線等の当初は想定できなかった問題も発生したが、それらの問題を逐次解決することにより、装置の基本的なセットアップを完成させるに至った。なお、本研究では特許出願を重要視しているため、中間報告的な学会発表等は行っていない。また、本報告書においても技術の核心部分は開示していない。
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