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2010 年度 実績報告書

力学環境変化に対する骨系細胞の構造形成ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 21760091
研究機関龍谷大学

研究代表者

田原 大輔  龍谷大学, 理工学部, 助教 (20447907)

キーワード機械材料・材料力学 / バイオメカニクス / アクチン細胞骨格 / 骨系細胞 / 焦点接着斑 / マイクロパターニング / 力学的適応 / 生物・生体工学
研究概要

本研究では,骨リモデリングにより達成される骨の力学的適応を担う骨系細胞の活動に対し,細胞周囲の力学環境変化のセンシング機構および,細胞内のミクロ構造変化と力学因子との関連を明らかにするため,実験的アプローチによる検討を行った.これまでに,マイクロパターニング技術を用い,細胞の焦点接着斑分布の制御下で骨芽細胞様細胞の一時脱重合後の再重合(再形成)過程を観察した結果,焦点接着斑分布の制御の有無で定性的にアクチン細胞骨格構造の形成速度および形成量が異なることが示された.これらの観察結果をふまえ,本研究では,まず,骨芽細胞様細胞のアクチン細胞骨格構造に対し生化学的に脱重合および再重合を起こさせ,それぞれの過程における細胞骨格構造の変化を焦点接着斑分布制御の有無で経時的に観察・比較した.また,アクチン細胞骨格領域におけるアクチンの輝度分布と束化したアクチン繊維構造の解析に基づき,それらの細胞骨格構造変化の定量的評価を試みた.次に,細胞骨格構造が十分形成された細胞に対し細胞外基質の変形による圧縮ひずみを負荷し,アクチンストレスファイバーの張力を解放して脱重合を起こさせ,細胞骨格構造の変化を焦点接着斑分布の制御の有無で比較・評価した.これらの実験の結果,焦点接着斑分布を制御した細胞骨格構造の主要なアクチンストレスファイバーは,制御のない場合に比べ,脱重合過程時に維持されやすく,これに起因して,再重合時の見かけの細胞骨格再形成過程が早く進行することが示唆された.以上の結果から,細胞骨格構造を形成するアクチンストレスファイバーの束化の密度と内部に作用する張力に変化が生じ,細胞骨格構造全体の構造変化に影響を与えることが示唆された.これらは,焦点接着斑分布の変化が,細胞周囲の力学的環境変化のセンサーメカニズムとして重要な役割を果たしていることを新たに示唆するものである.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Mechanical therapeutic effects in osteoporotic L1-vertebrae evaluated by nonlinear patient- specific finite element analysis2010

    • 著者名/発表者名
      D.Tawara, J.Sakamoto, H.Murakami, N.Kawahara, J.Oda, K.Tomita
    • 雑誌名

      Journal of Biomechanical Science and Engineering

      巻: 5 ページ: 499-514

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨リモデリングによる骨梁形態変化に伴う海綿骨の力学的特性変化2011

    • 著者名/発表者名
      田原大輔, 安達泰治
    • 学会等名
      理研シンポジウム VCADシステム研究2010
    • 発表場所
      理化学研究所(埼玉)
    • 年月日
      2011-03-02
  • [学会発表] アクチン細胞骨格の構造変化とアクチン重合観察の挑戦2011

    • 著者名/発表者名
      田原大輔
    • 学会等名
      第3回バイオメカニクスセミナー
    • 発表場所
      京都大学再生医科学研究所(京都)
    • 年月日
      2011-01-28
  • [学会発表] 骨再構築シミュレーションによる海綿骨の形態変化を考慮した力学的特性評価2011

    • 著者名/発表者名
      田原大輔, 柴田竜也, 堀川武, 安達泰治
    • 学会等名
      日本機械学会第23回バイオエンジニアリング講演会
    • 発表場所
      熊本大学(熊本)
    • 年月日
      2011-01-08
  • [学会発表] Prediction of change in bone strength of osteoporotic vertebra during 3-year drug treatment based on numerical bone fracture analysis2010

    • 著者名/発表者名
      D.Tawara, J.Sakamoro, H.Murakami, N.Kawahara
    • 学会等名
      5th International Symposiunl on Advanced Science and Technology in Experimental Mechanics
    • 発表場所
      龍谷大学(京都)
    • 年月日
      2010-11-07
  • [学会発表] 再構築による骨梁形態変化を考慮した骨梁骨の力学的特性評価2010

    • 著者名/発表者名
      田原大輔, 安達泰治
    • 学会等名
      第37回日本臨床バイオメカニクス学会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2010-11-02
  • [学会発表] 患者別CT-有限要素解析による投薬中骨粗鬆症椎体の力学的評価2010

    • 著者名/発表者名
      田原大輔, 坂本二郎, 村上英樹, 川原範夫, 富田勝郎
    • 学会等名
      第37回日本臨床バイオメカニクス学会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2010-11-02

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公開日: 2012-07-19  

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