研究概要 |
石英ガラスは良好な光の透過特性,耐熱性,耐食性を有するため,光学材料として注目されている.しかし石英ガラスは高脆性材料であり容易に脆性破壊が生じるため,研削により鏡面に仕上げることが困難である.そのため現在,梨地面状態で後の研磨工程に供給されている.その結果,研磨工程の長時間化,形状精度の劣化などの問題が生じている.そこで本研究は,石英ガラスの鏡面研削を実現し,高能率で超精密の石英ガラス製非球面レンズを加工することを目的とする. 平成21年度においては石英ガラスの傾斜研削を行い,延性脆性遷移点について検討した.この延性脆性遷移点をもとに研削条件選定について検討した.また研削温度が延性脆性遷移点に大きな影響を与えることを明らかにし,さらなる研削条件の最適化が可能であることを示した. 砥石の開発に関しては粒径にばらつきがあった場合,砥粒突き出し量のばらつきが発生する.その結果,連続砥粒切れ刃間隔のばらつきが生じ,最大砥粒切り込み深さが大きくなる部分が発生することになる.したがって精密に分級された砥粒が精密に分散した状態の砥石が必要不可欠となる.またこの状態をつくるためには結合材となる樹脂の粒径と砥粒の粒径が同等となる必要もある.しかし砥粒の粒径が小さくなるほど,これらの状態をつくることは困難となる.平成21年度においては,カスケードインパクター方式による砥粒と樹脂の分級を試み,ほぼ同等の粒径とすることを可能にした.また旋回流が発生するノズルを用いて,これらの粒子を分散・混合させることを可能にした.
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