研究概要 |
本研究は,多軸制御工作機械を対象とした新たな操作インターフェースとして,バーチャルリアリティの分野で利用されている力覚呈示装置を用いることにより,複雑な形状であっても,従来の手法より直感的かつ効率的な操作で加工することができるシステムを開発することを目的としている. 初年度となる平成21年度は,以下のように研究を遂行した. 1) 工具干渉の検出と回避 目標形状と工具の干渉,及び,材料の未切削部分と工具の干渉を検出する機能と,それらの工具干渉を6自由度の力覚を利用して回避する機能を付加することにより,干渉のない工具経路を出力する機能を実現した. 2) 切削感覚の呈示 仮想空間内にある工作物のモデルを切削する時に,力覚呈示装置を介して作業者に切削感覚を呈示,視覚と触覚の両方から加工状況を把握できるようにした.切削部分と工具の有効切れ刃部分が接触すると同時に,切削抵抗を模した力覚を生成して力覚呈示装置に出力する機能を開発した. 3) 工具軸固定機能の追加 回転2軸を固定して並進3軸で加工する割り出し加工を想定して,仮想工具を任意の姿勢で固定する機能を実装した.力覚呈示装置は,作業者が意図していない手振れなども仮想工具の動きに反映してしまうため,工具や加工面性状へ悪影響を与える.工具軸を固定する機能を追加することにより,作業者は加工面に対する工具姿勢を気にすることなく作業に集中できるため,操作性が向上した.
|