研究概要 |
平成22年度では1.「提案加工技術により平坦化した窒化ガリウム(GaN)表面上に直接作製したデバイス性能の評価」,および2.「加工速度の向上」に関する研究を実施した. 1.平坦化したGaN表面上に作製したデバイス性能評価 本研究により開発した加工技術により市販GaN基板表面に存在するスクラッチを除去し,表面粗さを0.2nmRa程度にまで平坦化を行った.この平坦化したGaN表面に金属電極(Ni)を真空蒸着し,簡易的なショットキー構造を加工表面上に直接作製した.このショットキー構造の電流-電圧特性(I-V特性)や容量-電圧特性(C-V特性)などの電気特性を評価し,市販GaN基板の特性と比較を行った.その結果,市販基板表面と比較して逆方向の電流電圧特性が改善し,リーク電流の低減が確認された.また順方向の電流電圧特性から算出した理想化係数が平坦化加工を行うことにより理想値の1に近づき,また各電極間のバラつきも低減され,電気特性が大幅に向上することがわかった. 2.加工速度の向上 開発した加工技術によるGaN表面の加工速度はおよそ0.03μm/hであり,産業応用を視野に入れた場合10倍程度の加工速度の向上が必要である.そこで基板表面に対する光照射に加え,電圧を印加し電気エネルギーを補助的に与えることにより加工速度の向上を図った.まず,研磨盤である触媒プレートに溝加工を施し,そこに金属のワイヤーを埋め込むことでGaN基板に光照射と電圧印加を同時に行うことができる研磨装置を開発した.開発した装置を用い,印加電圧や加工時間などのプロセス条件の最適化を行った.その結果,市販基板表面のダメージを除去し,所定の粗さを得るのに光照射のみでは30時間要していたのに対し,電圧印加プロセスを導入することでトータル加工時間を30分にまで短縮することに成功した.
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