研究概要 |
硼珪酸ガラス,溶融石英の単一材料内にN.A.0.5の対物レンズを用いてレーザ光(中心波長1043nm,パルス幅406fs)を集光させ,レーザ光の走査方向と偏光面の角度が及ぼす影響を検討した。その結果,レーザ光の偏光方向に対して走査方向が平行,垂直であっても,また円偏光のレーザ光であっても吸収エネルギー量および溶融状態に大きな変化は確認できず,レーザ光の偏光状態はガラスの溶融特性に影響を及ぼさないことが明かとなった. 次に円偏光のレーザ光(中心波長1064nm,パルス幅10ps)を用いて,パルスエネルギー,走査速度,パルス繰り返し数を変化させてレーザ光照射実験を行った.そして,溶融領域のレーザ光入射方向から溶接ビード形状,走査軸に対して垂直断面および平行方向の溶接ビード形状等を光学顕微鏡,ならびにSEMを用いて観察した.その結果,同一のレーザ光走査速度の条件下ではパルス繰り返し数がクラック発生に大きく影響を及ぼすことが明かとなった.この点に関しては,今後,温度・構造解析等を含めて検討を進めていく予定である. 次年度の重ね合わせ溶接用試料の準備に関して検討を行った.重ね合わせ溶接を実施するためにはガラス基板の接合面に異物が混在しないことが重要となる.そのために,簡易クリーンベンチを作製し,その中でガラス洗浄を行い,接合面への異物を低減する手法を確立できた.さらに次年度実施予定の重ね合わせ溶接のために,負圧を用いて試料に均一加重を加える試料固定ジグを設計,製作した.これにより,2枚の試料間にギャップを生じること無く,確実に固定する手法を確立できた.これにより良好な重ね合わせ溶接用試料の作製と固定保持が可能となった.
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