研究概要 |
高Si含有アルミニウム合金上に、平均粒径約1μmのアルミナ粒子と純水を混合したスラリー液を圧縮空気によって高速に噴射するウェットブラスト法によって、Alと硬質Si相の除去率の違いにより表面に凹凸形状を創製する研究を行った。 本年度は、昨年度の結果からスラリー加速空気圧を0.2MPa、ステージ送り速度を1mm/s、投射角度を45~90°に設定し、加工繰り返し数を変化させて加工を行った。 その結果、投射角度を90°及び75°で加工を行うとSiを選択的に除去した表面が形成でき,60°及び45°で加工を行うとAlを除去しSiを突出させた表面が形成できることを明らかにした。その凹凸の大きさは、投射回数で制御でき、投射角度90°で加工した場合は、約0.5μmの窪みを形成でき、投射角度45°で加工した場合は、約0.25μmの凸部を形成できることがわかった。 また、加工した面で往復摩擦試験を行った結果、投射角度90°で加工した面では、投射回数を増加させることで、低摩擦期間を長くすることができることがわかった。一方、投射角度45°で加工を行った場合は、投射回数を増加させると低摩擦期間が短くなることがわかった。低摩擦期間が長くなる理由として、加工面や摩耗面の観察から、油の保持能力の向上やAlが相手材に凝着しにくい面になっているためと考えられる。 以上の結果、平均粒径1μmの微細な砥粒を用いたウェットブラスト加工により、材料の材質の違いで凸部や凹部の創製ができることを明らかにするとともに、凹凸部の大きさにより、低摩擦の維持期間を長くできることを明らかにした。
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