研究概要 |
ナノメートルオーダの微小すき間(ナノすき間)に閉じこめられた液体は,バルク状態とは異なる力学特性(粘弾性)をもつことが知られている.この現象の理解は,磁気記録装置の液体潤滑薄膜の設計や,マイクロ化学チップの開発などに重要である.ナノ隙間の粘弾性測定法として,ファイバーウォブリング法(FWM)が開発されている.この測定法により,ナノ隙間で剪断される液体は粘性や弾性が増大することや,剪断率の増加に伴って粘性が減少するシアシニングが起こることなどが明らかにされている.このような現象には,分子の剪断による分子配向が関与すると考えられるが,詳細なメカニズムは未だ解明されていない.そこで本研究では,FWMによる粘弾性測定と分子配向特性の同時計測の実現をした.実験結果より,ナノ隙間では粘弾性が分子配向に大きく依存することが明らかとなった.
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