機械装置には、複雑な幾何曲線形状を有する部品が多く用いられる。例えば、自動車や風力発電装置などで用いられる歯車にはインボリュート曲線やヘリックス曲線が用いられる。このような部品は、部品表面の微細な凹凸形状が性能・品質に大きく影響する。例えば、歯車では1~2um程度の形状誤差でも振動性能に大きく影響する。このため、製品の検査工程において、専用測定機や三次元測定機による曲線形状測定が行われる。機械部品に要求される精度が1umレベルであるため、これらの測定機には数百nmレベルの測定精度を保証することが求められる。曲線形状測定機は、より精度の高い原器を用いて検査・校正がなされる。測定機の精度は原器の精度以上のものとはなり得ないため、原器には極めて高い精度が要求される。しかしながら、現状の原器の精度は1um程度しかないため、検査・校正された測定機の精度は産業界の要求を満足するものとはなっていない。そこで、本研究では、単純形状を基本構造とした高精度原器を提案する。これまでに、ヘリックス用原器により曲線形状測定機を検査・校正する状況について、バーチャル測定機を用いてシミュレーションを行い、検査・校正方法を構築するとともに、各種誤差要因の影響と問題点を明確化した。本年度は、高精度を有するヘリックス用原器による曲線形状測定機の高精度検査・校正法の検証を行うことを目的として、提案したヘリックス用原器による測定機検査・校正法の検証実験を行ない、有効性を確認するとともに、原器測定作業の問題点を明らかにした。
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