研究課題
昨年度までの成果をもとに、強磁場かつ低温である環境を用いる、分析装置内回転機構の設計・試作を行い、これに必要とされる液体窒素温度(77K)以下の環境でも使用可能な回転型アクチュエータの改良を行った。特に以下の各点について研究を進めた。軸方向により対称性の高い振動状態を維持したまま固定が可能となる形状の振動子を設計・試作した。この形状は、高次モードを同時に励振することによって、発熱量の小さい駆動を実現する印加電圧波形を得ることも目的とした。前年度試作したほぼ同寸法、同材料の振動子を用いたアクチュエータと比較して、回転数は3倍に、またトルクは4倍に向上した。次に、強磁場環境での使用を目的として、磁場の影響を受けにくい材料を選定して振動子を製作し、アクチュエータの駆動実験を行った。前年度までのSUS製の振動子とほぼ同形状・寸法のチタン製の振動子を製作し、これによって強磁場環境においてもアクチュエータによる回転駆動が可能であることを確認した。さらに低温環境での駆動実験を行い、5K以下でも510rpmの回転数を得た。さらに、昨年度までに駆動に用いた圧電材料PZTセラミックスに代え、PMN-PT単結晶を使用した振動子によりアクチュエータを構成した。これによりPZTに比べて77K以下の低温域においてより安定した回転数を得ることができた。5K以下の領域で、PZTを用いたものに対して効率30倍となった。以上のように、年度当初に目標としていた、50K以下の低温環境において300rpm以上の回転を得る圧電アクチュエータを実現した。また、強磁場環境においても使用することの出来る低温環境対応回転型アクチュエータを実現した。
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Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing
巻: Vol.6, No.1 ページ: 104-112
DOI:10.1299/jamdsm.6.104
http://www.act.sys.okayama-u.ac.jp/kouseigaku/research/superextream2011j.html