研究概要 |
平成22年度は,感圧塗料(PSP : Pressure-Sensitive Paint)による微小流路内での非定常酸素濃度計測について主に調査を行った.酸素濃度の異なる2流体が平行に流入する混合流路内の計測を行い,流入するRe数の違いによる流動様式の変化について明らかにした.流入Re数が比較的小さい場合には,流れは定常であるが,Re数の増加に伴い2流体の混合面の振動を伴う流れ,流路全域にわたって濃度が非定常に変化する流れに遷移していく様子が確認された.また先行研究においては流路を2次元と見なせ,かつ混合領域が無限に長い場合についてのみ研究されていたが,実際の流路においては内部流が2次元流れと見なせるような長さや深さを確保するのはスペースや作製等の観点から困難であるため,本研究では流路の3次元性を考慮した調査を行った.その結果,流路内で流れが定常から非定常に遷移する臨界Re数は流路長さに依存しないことを明らかとした.また,流路深さを変化させると臨界Re数は大きく変化し,臨界Re数は流路深さの-1.5乗に比例することを明らかにした.以上の結果から過去の研究例では考慮されていなかった流路の3次元性を十分に考慮する必要があること示した.また気液二相流計測を達成するために水中でのPSPの適用に向け色素及びバインダーの基礎特性の評価を行い,選定を行った.その結果,空気中で一般に使用されているPSPが水中においても優れた感度を示すことが分かり,気液二相流計測の可能性を示すことができた.
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