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2011 年度 実績報告書

ボルツマン方程式の差分法による希薄気体流の精密解析

研究課題

研究課題/領域番号 21760129
研究機関京都大学

研究代表者

小菅 真吾  京都大学, 工学研究科, 助教 (40335188)

キーワードボルツマン方程式 / 分子気体力学 / 希薄気体力学 / 気体分子運動論 / イオ / 惑星大気
研究概要

「研究実施計画」の項目1に記載した通り,前年度から引き続き,分子気体力学に基づく希薄惑星大気の研究を実施した.
具体的には,木星の衛星イオにおける(イオが木星の影に入る)食の前後での非定常的大気挙動を調べた.大気主成分である二酸化硫黄は,日射の変化による気温の変動に応じて,地表の霜との間で相変化を起こす.それに伴い大気の非定常的な鉛直流れが誘起される.この流れを,モデル・ボルツマン方程式の差分法による数値解析により求めた.結果の概要を以下に列記する.
(1)大気が二酸化硫黄のみの場合,凝縮により食の間(2時間)に柱密度が1万分の1程度まで低下し,大気は殆ど消滅する.一方,少量の非凝縮性気体(一酸化硫黄・酸素)を含む場合,それが地表付近に吹き溜り,凝縮流を妨げることで,大気の消滅を大幅に遅らせる.
(2)二酸化硫黄のみの場合,食が始まり地表で凝縮が始まると,地表から上空に向けて膨張波が伝播し,大気は鉛直下向きに流れ始める.すぐに地表付近で衝撃波が発生して上空へ伝播し,大気は跳ね返されるように上向きに流れを変える.このように大気は上下に振動しつつ,平均的には下降して地表で凝縮する.非凝縮性気体がある場合にも,弱く長く継続する振動的挙動が起こる,
(3)直接シミュレーション・モンテカルロ法(DSMC法)による既存の結果と比較した.DSMC法の結果は,本研究では省略した幾つかの効果(プラズマ加熱・大気放射など)も含めており,より現実的である.しかし,柱密度の時間変化は(一部のケースを除き)よく一致した.
なおDSMC法では,時間・空間的に高い解像度を実現するのは容易ではない.そのため上記(2)で述べたような非定常的挙動は,本研究により初めて明らになった.この成果は論文にまとめて雑誌へ投稿した.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 食の間の凝縮・昇華に伴うイオの大気の非定常流:モデル・ボルツマン方程式の数値解析2011

    • 著者名/発表者名
      小菅真吾
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2011
    • 発表場所
      首都大学東京南大沢キャンパス
    • 年月日
      2011-09-08

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公開日: 2013-06-26  

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