研究概要 |
平成23年度(最終年度)でば,(1)粗さ要素近傍場の平均量計測と(2)浮動片要素応力直接測定装置による抗力値の再測定を行った. 粗さ要素近傍場の計測では,流れ方向に粗さ要素1ピッチ分およびスパン方向にマクログルーブ3ピッチ分の範囲に限定して流れ方向平均速度および乱れ強さのデータの取得が行われた.高さ方向については,2次元粗面とマイクログルーブを付加した粗面上の流れ場の差異が生じる範囲に着目した。マイクログルーブが流れ場に対して与える影響はマイクログルーブ直近の下流および上流領域に顕著に現われ,2次元粗面流の結果に対して流れ方向平均速度および乱れ強さともに増加することが明らかとなった.一方,マイクログルーブ簡においては,2次元粗面流の結果と分布傾向は良好に一致した結果となったが,粗さ要素間溝部中央付近では2次元粗面の結果に対してわずかに値が増加することが分かった.さらに,瞬時変動速度信号波形の自己相関分布から評価された積分特性長さは,マイクログルーブ背後ではほぼ一定で2次元粗面流の結果に比べ増加し,一方マイクログルーブ間において分布傾向は平均量分布と同様に2次元粗面流の結果と⊥致するが溝部中央から下流め範囲で値は増加する.この詳細な計測より,粗さ要素近傍場において乱れ強さの増加が判明したため,乱れによる運動量の輸送の強化が期待された.そこで,昨年度実施した壁面せん断応力の計測を再試行し,その妥当性を検証した.その結果,昨年度の結果とほぼ一致した結果が得られた.この結果をもとに,ヤイクログルーブの壁面せん断応力および仮想壁面高さ位置(平均速度分布の相似則を議論する際に使用される原点補正量に対応する)に対する影響を調べた.マイクログルーブ付加による壁面せん断応力の変化はほとんど生じなかったが,仮想壁面高さ位置は2次元粗面流に比べ下方に移動した.
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