研究概要 |
本研究では,公転を伴う回転円板上の三次元ねじれ境界層の解明を目的とし,ウェハの代用として,アルミ円板を用い,自作の自公転円板回転装置に設置し,自転速度は最高3000rpm,公転速度は最高500rpmに設定して基礎研究を行った。回転円板に滴下した液体が遠心力により薄く広がって,円板外周から飛散する液滴挙動を,高輝度照明で照射し,高速度カメラで撮影することにより,その撮影画像から液滴挙動をPTV(粒子追跡法)で解析し,液滴飛散速度,液滴飛散角度,液滴直径などを明らかにした。また,円板のエッジの厚みによって飛散パターンや液滴直径の度数分布に違いがみられ,それによって液滴飛散速度や角度のばらつきの大きさが依存している結果が得られた。 さらに,実用上の各種塗布工程ではさまざまな表面粗さ状態となっているが,表面粗さの異なる円板を用い,その表面粗さが液膜流れを伴う回転円板上の気流の境界層遷移に及ぼす影響について液膜流れの流量を変えて調査した。熱線流速計で回転円板上の気流の速度分布を計測し,レーザー変位計により円板表面粗さや液膜表面粗さを計測することによって,表面粗さや液膜流量の増加は境界層遷移を促進することを明らかし,そのメカニズムについて考察した。このように,回転円板表面上に形成される三次元ねじれ境界層内の気流の遷移や乱れに及ぼす円板表面の粗さの程度を示すことによって,それらがレジスト成膜の一様化に与える影響を予測可能にした。
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