研究概要 |
本研究の目的は、空気イオンが流体によって輸送されるメカニズムを、イオンカウンターおよびイオン濃度プローブによる濃度計測と、流体計測の両方を駆使して明らかにすることにある.次にイオンモビリティーを向上させ、イオンの到達距離が大きくなるような流体による輸送法を提案し、イオン利用機器の性能向上に役立てることを課題としている。 本年度では、まず実験対象となる流れ場を構築するための噴流実験装置の製作とその性能評価を行った。熱線流速計による流れ場計測の結果、ポテンシャルコア領域から発達領域までの平均速度分布・乱れ強さ分布の点で良好な軸対称噴流の形成が実現されていることを確認した.今後、この噴流に旋回成分を外部流として加え、イオン到達距離向上のための制御実験を行う予定である。 同じ軸対称噴流の中心軸上にイオンを導入し、流れ場計測と共にイオンカウンターによるイオン濃度計測を行った.その結果、噴流中心軸上において最もイオン濃度が高く、また流速が速くなるにつれてイオンの到達距離が伸びる傾向が明らかになった.また噴流の主流流速U_∞=6,10,14[m/s]の条件下では、イオン濃度勾配の解析から、噴流中のイオン輸送には電荷によるクーロン力よりも流体力による移流の効果が大きいことがわかった.流体の乱れ強さの大きい領域では、イオン濃度のばらつきも大きいことが確認され、本研究で行うイオン輸送の数値シミュレーションの開発に有用な知見となる結果が得られた.
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