研究概要 |
前年度までに開発を行ってきたメッシュフリー型乱流解析手法を円管内部の乱流非定常流れ解析へ適用した結果,高精度化に関する幾つかの知見が得られた.その知見に基づき,手法を改良することで,従来に比べ,より微細な渦構造の相互作用が解像可能となっただけでなく,速度ひずみが大きな領域の空間解像度が高められることにより,解析精度が向上することが確認された.また,実験データとの比較を行った結果,平均速度分布およびその速度変動量が高精度に再現できることが確認された.さらに,表面格子の格子スケールを変えた解析を行った結果,円管内部流れにおける乱流境界層の解像には不十分な空間解像度の表面格子を用いた場合であっても,渦要素再配置モデルを導入し,空解像度の許容値を小さく設定することで,速度ひずみが大きな領域における空間解像度の向上が可能であり,実験値に近い値を示すことができることが確認された.昨年度に引き続きGraphic Processing Units (GPU)による高速化を進めた結果,倍精度でCPU演算(Intel Xeon X5550を使用)に比べ約17倍(NVIDIA Tesla C1060を使用)の高速化に成功した.これらの結果から,これまで開発を進めてきた渦要素再配置モデルおよび渦要素消去モデルを導入したメッシュフリー型の乱流解析手法の乱流内部流れへの有効性が確認された.今後は,境界を有する乱流外部流れ場に対して手法の検証をさらに行うとともに,工学的応用における有効性についても確認し,手法のさらなる高精度化,高速化を行う.
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