研究概要 |
初年度に(1)定常等方性乱流場を実現するための効率的な強制法と、(2)その強制法を組み込んだ大規模並列二相乱流シミュレーション法の開発を行った。本年度は、まず(1)に関して国際会議での成果発表、および雑誌投稿を行った。その結果、国際会議発表はプロシーディング集掲載に見事選ばれ、また、Journal of Computational Physicsという著名な計算科学雑誌に掲載されるという栄誉を受けた。(2)に関しては,コード検証を十分に行った上で、実際にスーパコンピュータをも使った大規模並列計算を実行し、テイラーマイクロスケール基準乱流レイノルズ数Re_λが340という高いレイノルズ数における慣性粒子の衝突頻度データを得ることに成功した。これは、たかだかRe_λ~100という既往研究におけるレイノルズ数を大幅に更新するものであり、得られたデータは当該研究分野において貴重なデータである。この貴重なデータを使って、既往の衝突頻度予測モデルの検証を行った結果、既往モデルは高レイノルズ数の時に乱流衝突頻度を過小評価することが明らかとなった。この成果は、高レイノルズ数流れの中での慣性を持った微小粒子の乱流衝突メカニズムの一端を明らかにする重要なものであるので、学術雑誌に投稿した。また、(2)の計算アルゴリズムを国内特許申請した。国際特許も申請する予定である。さらに、得られたデータの公開も推進しており、専用ホームページ上で広く配布できるようにした。実際、データが他機関にも利用され、放射に与える慣性粒子の偏在現象の影響が評価された。その成果の一部は既に国内会議で発表されている。以上のように、コード開発、データ取得および考察に止まらず、得られた成果を学術雑誌、学術会議およびホームページ等を通して着実に学術界に発表することができた。
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