研究概要 |
半導体や超精密機械部品の製造プロセスにおいて洗浄工程は不可欠であり,微細かつ複雑形状に付着した微小な汚染粒子を除去可能な洗浄方法の開発が切望されている.本研究者は,環境負荷が少なく洗浄効果が高い洗浄媒体として「氷」に着目し,液体窒素等の特別な冷媒を使用せず,ミクロンサイズの微小な氷粒子や過冷却水滴を噴射可能な新規な洗浄ノズルを考案した.本ノズル内部における水滴の冷却や氷核生成による状態変化はミリ秒以下の時間スケールでの物理現象であり,この水滴の冷却過程を明らかにすることができれば氷生成率の向上および制御が可能となる. そこで本研究では,ラバルノズル内部における水滴(粒子)の流動と熱伝達を考慮した流体解析を実施することにより,水滴の冷却に最適なノズル形状を調べた.液滴を冷却し凍結させるためには液滴がノズル内に滞在する時間を長くとる必要があるが,管路が長くなった場合には,ノズル壁面に境界層が成長し,流路の有効断面積が減少してしまうことが明らかとなった.また,解析で得られた形状となるようにラバルノズルを製作し,ノズル出口における噴霧特性を位相レーザドップラ分析計により調べたところ,算術平均粒径D_<10>が5ミクロンの微小な粒子が超音速(480m/s)で噴射されていることが示された.
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