研究概要 |
初年度である平成21年度はまず実験装置の設計と製作を行った.固体酸化物形燃料電池(SOFC)内の流路を模擬した断面一定の矩形流路(高さ約1mm)の壁面に燃料極を模擬したニッケル-YSZ混合体,空気極を模擬したLSCF,酸化触媒である白金をそれぞれ設置し,電気ヒータにより温度を制御しながら混合ガス(炭化水素,酸素,窒素,水蒸気)を流し,排出ガス成分の分析や温度分布計測を行った.燃料はメタンであり,反応部平均温度を550℃~650℃とした.発電がない状態でガスの組成,流量,温度等をパラメータとして変更し,各試料の基礎データの収集を行った.無加湿の混合ガスを流した場合には燃料極で完全酸化反応が進行すること,いっぽう無酸素の混合ガスでは水蒸気改質が進行することが確認された.また,燃料,酸素,水蒸気が共存する条件では,まずは酸化反応が選択的に進行し,酸素の消費後に水蒸気改質が進行するようであることなどが明らかになった.このとき特徴的な温度分布の準周期的な時間変動が観察された.白金触媒では酸化反応は進行するが水蒸気改質反応は進まないことがわかった.さらに空気極はいずれの反応もほとんど進行せず,ニッケル-YSZとLSCFはそれぞれ予混合SOFCの燃料極,空気極として,良好な基礎特性をもつことがわかった.燃料極における水蒸気改質では,スチームカーボン比が3未満の領域では,反応速度に対する水蒸気分圧の影響が比較的大きくなることがわかった.
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