| 研究概要 |
本研究の目的は,小型磁気冷凍システムを構築し,システムに使用される磁気作業物質と熱輸送媒体との間の熱交換特性を把握することに加え,磁場の付与により連続的に生じる磁気作業物質からの吸発熱量を,素早く移動させる熱交換向上技術を確立することである.本年度の実施事項および研究成果を以下に示す.
1. 磁気冷凍法の特性を評価するための実験装置の製作
磁気冷凍技術の核となる,磁気作業物質充填層の熱移動特性,およびシステムの性能を評価するための実験装置を製作した.本実験装置は主に,永久磁石を用いた磁気回路,磁気作業物質を封入した試験部,熱交換媒体駆動系,および各測定系から構成されている.磁場集中が生じる磁気回路の中心部には,磁気作業物質が封入されたセルを配置した試験部が設置される.
2. 磁気作業物質の選定
本研究では,磁気熱量効果の大きいガドリニウムを主な磁気作業物質として採用した.加えて,ガドリニウムの数倍の磁気熱量効果を示すことが知られているランタン系化合物も磁気作業物質として検討し,その成型方法も含め評価の対象とした.
3. 冷却特性の実験
制作した実験装置を用い,磁気作業物質と周囲熱媒体との間の熱移動特性およびシステムとしての冷却特性を検討した.実験パラメーターとして,励磁・消磁の周期,周囲流体の流量,および磁性材料の組成を変化させた.
4. 研究成果および特筆すべき点
(1) 蓄熱再生サイクルを適用することにより,小型・少量の磁気作業物質においてもある程度の冷却能力が得られることが確認された.
(2) 粉状のランタン系化合物材料を造流技術を応用して球状に成形することを試みた結果,比較的安定した粒子を短時間で大量に得ることができた.
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