本研究課題「超高感度近接場蛍光熱顕微鏡を用いた熱物性その場測定法の開発」はナノ領域において「そこにどのような構造の分子が、どの程度結晶欠陥やボイドを有し、どのくらい均一・均質に基板に修飾されているか」を光学的に直接モニタリングする革新的その場計測手法を確立することを目的としている。本研究により、局所的な熱物性の変化ならびに温度応答性を測定することで、ナノ結晶中のPhonon-Phonon散乱あるいはPhonon-Electron散乱、結晶欠陥やボイド、界面状態を分析することができる。ナノメートルオーダーの空間分解能でナノ機能性材料の熱物性を非接触で測定できれば、ナノマテリアルのプロセスモニタリングや、新しい記録デバイス開発へと繋がる。 『超高真空近接場光チャンバーと温度プローブの構造解析による超高感度計測技術の確立』 (1)近接場光学熱顕微鏡を超高真空下で動作させることで、熱伝導に起因したノイズと制御の不安定性を無視できることを解析的に明らかにした。また、超高真空近接場チャンバーに適用可能な偏光近接場光学熱顕微システムを新たに提案し、その妥当性を実験的に明らかにした。 (2)温度プローブであるQdotの構造をTEMを用いて明らかにした。また、粒径分布に起因した波長分散ならびに蛍光寿命の変化を実験的に明らかにし。得られた知見をもとに、新たな測定理論を構築し、ナノスケール熱物性計測に資する高精度温度計測手法を確立するに至った。
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