テンタゲート式水門の動的不安定に対する安全対策手法を検討するために、テンタゲートの縮小モデルを用いた実験、実用テンタゲートにおける振動実地調査および理論解析を行ってきた。 実用大形テンタゲートの振動実地調査:(独)水資源機構の協力を得て、ダムに新設された大形テンタゲートについて振動実地調査を行った結果について詳細な解析を行い、報告書を作成した。実験では、研究代表者らが以前から提案している鋼棒切断加振法により流水中で巨大なゲートを加振し、そのときのゲートの振動応答を計測している。解析の結果、当ゲートは動的に安定であり、実用運転条件下で振動を引き起こす可能性のないことが確認できた。さらに、動的安定/不安定の判別に関する理論解析法の検証を行うこともできた。 モデル実験:系の非線形効果が支配的となる自励的定常振動について、大形と中形のテンタゲートの3次元モデルゲートを用いた実験を行った。線形理論に支配された微小振動から非線形性が卓越してくる自励的定常振動までの挙動がいろいろな条件下で実験を行い、いくつかの貴重なデータを得た。今後さらに詳細な実験を行い、特性を把握することが必要である。 理論解析:実地調査結果およびモデル実験結果に基づいて、実用大形テンタゲートに適合した理論解析を進めている。解析手法の確立には至っていないが、現象をモデル化し、解析を進めている。小形モデルと実物とのスケールファクターを明らかにすることも試みている。 研究成果の発表:研究成果を国内外で発表した。
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