本年度の目的は、試作を目的とした提案インホイール駆動システムの設計を行うことである。 前年度(平成21年度)は、提案システムの基本原理を確認し、その有効性の検証を行った。その結果、提案システムを用いると、乗り心地などが改善できることが確認できた。一方、提案システムはその構造上、駆動モータの発生トルクが車体の上下運動に影響を与える構造となっており、その影響についても数値シミュレーションによって確認した。これらを踏まえ、本年度は以下を行った。 1.前後車輪に提案インホイール駆動システムを用いた2車輪のシミュレーションモデルを構築した。このモデルを用いたシミュレーションから、提案システムの有効性の検証を行った。その結果、乗り心地が改善できることが確認できた。さらに、モータのトルクを制御することで、車両の加減速時のピッチ角変化を低減できることが確認できた。 2.遺伝的アルゴリズムと数値シミュレーションによって、提案システムの設計パラメータ(スプリングレートなど)を設計する手法を構築し、それを用いることで、提案システムに最適な設計パラメータを決定することができた。 本研究から、提案システムを用いると、従来のインホイールモータシステムの欠点であったバネ下荷重増加による乗り心地の悪化を改善できるとことが確認できた。また、車体のピッチ角変化も抑制でき、新たな付加価値を持ったシステムであることが確認できた。さらに、提案システムに関する主要設計パラメータが設計できたことによって、試作検証に向けた有効な知見を得ることができた。
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