研究概要 |
本研究課題は,工場等の空気圧供給システムの安定化を図り,特に超精密機器に使用される空気ばね式除振台やサーボステージの高精度化・高効率化を実現することを目的として実施し,平成21年度は以下の成果を挙げた.1.等温化圧力容器・圧力微分計・スプール型サーボ弁を用いた気体用超精密高速応答圧力レギュレータを製作し,除振台の供給圧力の制御に適用した.実験の結果,従来広く行われる減圧弁等とバッファタンクを用いる圧力制御方法では影響を回避できない供給圧の変動に対して,提案方法では相対変位・台上加速度ともに変動が少なく優位であることが確認された.2.空気ばね式除振台の台上装置の運動により生じる振動を低減するために,開発した圧力微分計を用いた新しい制御手法を提案した.提案手法は,空気ばね内の微小な圧力変動を圧力微分計で測定し,その値をポジティブフィードバックすることで,ノズルフラッパ型サーボ弁の応答性を向上させ,外乱補償効果を高めるものである.提案手法の有効性を,4つの空気ばねで4点支持の除振台と台上の1自由度運動を行う空気圧サーボテーブルを用いた実験装置で確認した.さらに,提案手法を圧力制御系の応答性向上のため一般に用いられる圧力のPI制御や空気ばね式除振台の台上装置の運動を補償するフィードフォワード制御と比較し,提案手法はロバスト性が高く,設計が容易で適用性に優れていることを示した.3.スプール型サーボ弁の出力流量を層流型高速応答流量計により計測しフィードバック制御することにより,スプール型サーボ弁の非線形性および中立点変動による影響を低減する高速流量制御系を構築し,その制御系を除振台の圧力制御のマイナーループとして適用する制御系を提案した.鉛直方向3軸支持の除振台を用いた実験の結果より,スプール型サーボ弁を用いた低消費流量で大出力可能な空気ばね式アクティブ除振台の実現可能性を示した.
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