研究概要 |
本研究課題は,工場等の空気圧供給システムの安定化を図り,特に超精密機器に使用される空気ばね式除振台やサーボステージの高精度化・高効率化を実現することを目的として実施し,平成22年度は以下の成果を挙げた. 露光装置などでは,空気ばね式除振台の台上ステージの移動に伴う傾斜の影響を回避するため,本研究では,圧力微分計を用いて,空気ばね内の微小な圧力変動を計測し,その値をポジティブフィードバックすることでノズルフラッパ型サーボ弁の応答性を向上させ,外乱補償効果を高めるという,新しい制御方法を提案した.今年度は特に,そのステージの除振・支持に使用されている空気ばね式アクティブ除振台への供給空気圧安定化と,供給圧に支生じる外乱に対する応答について,評価を行なった.供給圧の安定化制御には,以前から開発を進めてきた等温化圧力容器・圧力微分計・スプール型サーボ弁を用いた気体用超精密高速応答圧力レギュレータ(HPQR)を使用したが,今年度は,そのHPQRの性能を評価する装置を提案・構成し,HPQRの定常安定性,目標値変動追従性および外乱(HPQRの上流側および下流側)に対する応答の評価試験を行ない,HPQRの性能を確認した.次に,そのHPQRを空気ばね式アクティブ除振台の供給圧制御に適用し,HPQRの上流側および下流側に外乱を発生させ,除振台の定位性(変位・加速度)を評価する実験を行なった.その結果,他の減圧弁等(ノズルフラッパ式,ダイヤフラム式,電空比例式)を用いた場合に比べ,HPQRを用いた場合には,除振台の変位・加速度・圧力ともに,安定性および外乱からの回復応答速度が優れていることが明らかとなった.
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