本研究は圧電セラミクスを振動制御系のアクチュエータとして用い、制御スピルオーバを引き起こすことなく、構造物の振動制御を実現することを目的とする。21年度はアクチュエータとして使用する圧電セラミックスについて、基本的な性質の理論展開を中心に研究を行った。最終的には実験を行って検証する必要があるものの、本研究最大の目的である、振動モードの節を跨いでアクチュエータを設置しても、当該モードを励起することが可能であることを示した。具体的には、先の研究で提案したPVDFを用いたセンサと同様、2次関数を形状関数としてアクチュエータの形状を決定すれば、振動モードの節を跨ぐ位置にアクチュエータを設置しても、当該モードを励振することが可能である。この成果を踏まえて、22年度に単純支持平板を製作し、提案したアクチュエータが十分な性能を有していることを検証できる見込みとなった。また21年度中には、先の研究で使用していたアルミサッシに、本課題で使用する圧電セラミックスを振動制御用アクチュエータとして貼付し、振動制御効果の検証を行った。アルミサッシのガラスは、境界条件が単純支持や固定端ではなく高弾性の部材により支持されている。これは換言すると、一般構造物への適用を視野に入れた実験において、十分な振動制御効果が得られることを明らかにしたものである。今回の実験では、矩形の圧電セラミックスをそのまま貼付したが、22年度以降、本課題で提案するアクチュエータの形状に従い、矩形の圧電セラミックスを本課題で提案する形状に成形する予定である!これにより、制御スピルオーバを引き起こすことなく、振動制御効果を十分に有した、振動制御用アクチュエータを提案できる見込みである。
|