研究概要 |
本研究の目標は,人間が或るシーン(イベント)を見た際に行う柔軟な現象解釈能力や状況説明能力をアクチュエータを有する計算機(ロボット)上で実現することであり,そのために必要となる概念構造をロボットにより自立的に獲得・構造化するためのシステムを構築することを目的とする.我々はこれまでに,ロボットが観測した実世界イベントを解釈するための概念構造"Cognitive Ontology(認知オントロジ)"を提案してきた.本研究では,この概念構造を外部の補助なく自立的に獲得するためのシステムを構築し実際に動作させるため,以下の研究課題に分け,本年度では(1~2)について取り組んだ. (1)色,幾何パタン,3次元構造,動き軌道認識を高速・安定に実行する機能の実現 (2)相互作用の予測に基づき,3つの注意対象を選択し更新する技術の実現 (3)リアルタイムで観測しながら,概念構造を自動的に抽出・獲得する機能 (4)ロボットの相互作用への参加とCognitive Ontologyの能動的な確認機能 平成21年度では,オートフォーカス型のビデオカメラおよびOpenCVライブラリを用いて映像観測と画像処理が可能な環境を構築し,観測された映像中の人および物をトラッキングするシステムを実現した.トラッキングの際にトラッキング対象物の移動先と干渉の予測を行うことで,因果関係をRDF形式で記述しデータとして登録するまでの一連のシステムの構築を行った.次年度では,これらのシステムを応用し,観測されたイベントから因果律を自動的に抽出するまでの機構および,ロボットの実世界のイベントへの相互作用の実現を目指す.
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