研究概要 |
本研究の目標は,人間が持つ解釈因果関係を含む動的事象(イベント)に対する柔軟な解釈能力や状況説明能力をロボット上で実現することであり,そのために必要となる概念構造をロボットにより自立的に獲得・構造化するためのシステムを構築することを目的とする.我々はこれまでに,ロボットが観測した実世界のイベントを解釈するための概念構造"Cognitive Ontology(認知オントロジ)"を提案してきた.本研究では,この概念構造を外部の補助なく自立的に獲得するためのシステムを構築し実際に動作させるために,以下の研究課題に分け,研究を進める. (1)、色/幾何パタン/3次元構造/動き軌道の認識を高速かつ安定に実行する機能の実現 (2)相互作用の予測に基づき,因果関係を構成する3つの注意対象を選択/更新する技術の実現 (3)リアルタイムで観測しながら,概念構造を自動的に抽出・獲得する機能 (4)ロボットの相互作用への参加とCognitive Ontologyの能動的な確認機能 本年度では,上記のうち,(3~4)について取り組んだ.昨年度までに構築した成果によって,入力映像中に動的に設定される注意対象をEntltyとして抽出し,タイムスタンプ付きのデータベースとして登録する.抽出されたEntity毎の出現頻度に応じて因果関係を算出する.以上により,因果関係を含む構造化されたEntityデータベースを得る.上記(4)の成果では,構築したEntityデータベースを元に,アクチュエータを搭載したロボットにより,「撮影地点の変更」および「撮像中のEntityに対する外乱入力」を行った際のEntityの変化を観察することで,因果律の更新を行う機構を構築した.以上により,映像観察および実環境イベントへの相互作用参加に基づいた概念構造の自立的構築を行う基礎的な機構構築を実現した.
|