研究概要 |
本研究は,非侵襲ながら接触計測が可能な,ハンドルセンサシステムを用いた把持行動計測と,生理指標や骨格モデル等との定量的整合性検証によるドライバ状態推定の実現を目指している. 本年度は(1)ドライビングシミュレータへの基礎システム実装,(2)筋骨格モデル等把持行動解析モデルの構築,(3)ハンドルセンサによる計測環境の構築の3点を行うことで,基礎的な研究環境の構築を行った. まず,(1)としては,すでに構築ずみの試作センサに加え,生理指標計測用のサーモグラフィを導入し,それらをドライビングシミュレータ上にて統合した.これにより,ドライビングシミュレータ既存の運転環境プログラムを用いて,自動車模擬運転時の運転行動(アクセル・ブレーキ・ハンドル操作)・ハンドルの把持行動・鼻部温度差の同時計測が可能となった.ただし,試作センサについては,有線配線があることで操作者の行動を疎外する可能性があった.これの解決策を講じ,(3)に示す計測環境を構築した.これにより実際に被験者ドライバに対して,睡眠を誘導する実験を行い,眠気を有する行動と覚醒時の行動との間に優位な差が生じることを計測結果からも確認した.一方,運動学的見地からの行動モデル統合として挙げた(2)のモデル構築については,関係する文献調査を行い,本件研究に適用可能な,上肢筋骨格モデルを選定し,プログラム実装の準備を行った.
|