研究概要 |
本研究では人間とロボットの協調動作における作業スキルを,各種センサより得られる入出力データから抽出することを目的としている。本研究では作業スキルを線形制御器として定義し,作業中にその制御器が切り替えることで複雑な作業を表現する。そのため,まず得られた入出力データを動作モードに応じて分割し,分割されたデータに対してそれぞれのモードにおける制御器をデータより設計する手順となる。本年度は,入出力データ各モードごとに分割されているものとして,作業を表現する線形制御器の設計をデータから直接行う方法について研究を進めた。また,各種センサより得られる入出力データはセンサノイズが重畳していることから,制御器設計法はノイズに対してロバストである必要がある。この点に対しては,システム同定の分野で成果を挙げているセンサ信号とノイズとの間の無相関性を利用する相関をベースとした制御器設計法を利用することで解決した。さらに,一般化を行い,多入力多出力システムに対しても本設計法を適用可能にするための工夫を加えた。簡単な演算により制御器を設計するために,妥当な線形化を導入することで,最小二乗法による制御器パラメータの求解を可能にした。実際にノイズが重畳する環境下で取得したデータから良好な性能を示す制御器が設計可能であることを実験により示した。また,人間との協調作業を行うロボットシステムの構築も同時に進め,システムのおおよその完成を見た。
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