研究概要 |
本研究では人出力データから直接ロボット制御をかはくわせる制御器を直接設計する制御器を設計するモデルフリー制御器設計法と呼ばれる制御器設計手法に関する研究を行った。特に,モデルフリー制御器設計法では数式などの制御対象モデルを用いることなく制御器を設計するため,実際に設計された制御器が制御対象を安定化できるかどうかは実装してみなければわからないという問題が存在した。モデルフリー制御器設計法を用いることで,人間の作業スキルをロボットに移植する際に,人間のモデルを構築する必要がない点は利点となるが,実際にロボットに設計された制御器を実装したときに,制御系が安定化できなければ安全性の面からも問題となる。この問題点を解決するためにます,設計した制御器を実装した制御系の安定件のための十分条件を小ゲイン定理より導いた。この安定条件はある伝達関数行列の最大特異値が1未満になることと等価となることから,スペクトル解析法を用いて指定された周波数点で特異値が1を越えないという拘束条件を,これまでに研究を進めていた制御器設計のための評価関数の最小化問題に追加することで,制御系の安定性を保証する制御器の設計を入出力データのみを用いて行うことを可能にした。 また,非線形な最適化問題となる場合においては,非線形最滴化法を用いて制御器パラメータを繰り返し更新している。非線形最適化法としてこれまでのガウス・ニュートン法を用いていたが,前述の安定性を保証する半判別を組み込むことにより局所にとらわれる確率が上昇した。局所解に陥る確率を下げるため,非線形最適化法として粒子群最適化法を用いた。粒子群最適化を用いることでこれまで初期解の決定に試行錯誤を伴っていたものが,解の存在範囲を指定するだけで,解探索を行うことが可能となった。
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