研究概要 |
本研究では,障害者の歩行機能を評価,改善するための新規な歩行学習システムの構築を目標としている.具体的には,1. MR流体ブレーキを搭載した制御型下肢装具,2. 速度および方向を制御可能な制御型歩行車(車輪つき歩行器),3. 装着型の運動計測システム,4. 上記の3つの情報を統合し制御するコントローラ,の開発を目標としている.平成21年度の実施では,上記の1および2を中心に研究を実施した.1に関しては,従来のMR流体ブレーキより小型軽量のブレーキを開発し,新規の制御型短下肢装具に組み込み,歩行実験を実施した.開発した装具はブレーキの改良のみならずセンサ系の見直しにより軽量な装置となった.新規に開発した計測系では故障率の高いフットスイッチを使わず,加速度計と角度計によって歩行の状態判別を実施できる判別アルゴリズムを新規に考案した.この新規の制御型装具および制御系を用いて,足関節弛緩性麻痺の罹患者に対して歩行実験を実施し,歩行速度と制御方法の関係について臨床的な結果を得ることができた.また,2に関しては,市販の車輪付き歩行器(以下,歩行車)の左右1輪ずつにMR流体ブレーキを搭載し,歩行速度と方向を制御可能な歩行車(制御型歩行車)を開発した.この歩行車に対して,簡易なカメラを搭載することでフロアに貼付したラインを認識し,その指示する方向に方向を制御する画像処理および制御アルゴリズムを考案し,試作を行った.また,この試作を用いて特別養護老人ホームにて実際に各機能障害(視覚障害,認知障害,筋力低下等)を有するお年寄りに使用していただき,次年度以降の開発への知見を得ることができた.
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