研究概要 |
これまでに様々なヘビ型ロボットが開発されているが,それらの移動は2次元平面上に限られるものがほとんどであった.本研究ではピッチ軸とヨー軸を交互に組み合わせて構築したヘビ型ロボットを対象とし,円柱に巻きついた状態で螺旋捻転運動を行う移動形態を実装することで,3次元環境においても移動できるヘビ型ロボットを実現することを目指している. 前年度の研究により,円柱の外部に巻きついて螺旋捻転運動により移動するヘビ型ロボットが実現された.今年度はこれを応用して,配管内部を移動するヘビ型ロボットを実現した.具体的には,直管内部を移動する際には常螺旋の移動形態,エルボ管内部を移動する際には曲螺旋の移動形態をヘビ型ロボットに実装することで配管内移動を実現した.また,直管とエルボ管が組み合わされた一般的な配管内において移動を実現するために,配管形状の変化に合わせてヘビ型ロボットの移動形状を変化させるシフト制御(先頭形状を後方にシフトすることで先頭から徐々に形状を形成する制御方法)を実装することにより移動形態間のスムーズな形状変化を実現した. さらに,螺旋状に巻きついているヘビ型ロボットが円柱に及ぼす力の解析を行った.一般にロボットハンドに代表される多関節機構の接触力はトルクを発生する関節数に対して対象物との接触点が増加すると不静定となることが知られており,この不静定な接触力を計算する手法がいくつか提案されているが,ヘビ型ロボットに適用された例はこれまでなかった.本研究の解析手法では,まずヘビ型ロボットが螺旋形状をなす際に生じる誤差を考慮して,ロボットと円柱との接点を導出する.次いで従来の計算手法を応用して接触力の発生し得る範囲を求め,最後に円柱壁面からヘビ型ロボットが受ける垂直抗力に注目して接触力として妥当な解を求めた.
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