研究概要 |
ベアリングレスモータは,非接触磁気支持と回転が同時に可能な電磁回転機である.すべり・転がり摩擦が発生しないため,高耐久性,無摩耗・無発塵などの利点を有する。このため,遠心式血液ポンプ(人工心臓).純水・薬液ポンプなどへの応用が提案されている。人工心臓は,腹部に縦置きで植え込まれるため,薄形構造が望まれる。さらに,人工心臓に限らず,設置体積が小さい工業用ベアリングレスポンプの需要も近年増加している。そこで本研究では,極薄形ベアリングレス遠心ポンプの実現を目的としている。 昨年度までに,極薄形遠心ポンプ用ベアリングレスモータの構造考案,3次元有限要素法を用いた磁場解析による設計,試作,および回転子の磁気浮上を実現した,しかしながら,回転子の磁気浮上時,制御パラメータの微変更により振動が大きくなり,安定性に問題があった.また,回転子の半径方向への支持力(磁気支持力)の方向誤差を低減するため,短節巻の磁気支持巻線を分布的に配列させる方法を提案した. 回転子の半径方向の変位は,渦電流式変位計と回転子下側に設置したセンサターゲットを用いて検出している.本年度は,変位センサを追加し,センサターゲットを回転子上部にも設置することで,差動で回転子変位を検出した,これにより,アッベ誤差を低減し,回転子浮上時の振動振幅低減を実現した.また,磁気支持力の方向誤差が最も小さくなる分布配列した巻線の巻線比を数値計算により示した.
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