研究概要 |
本研究課題では,柔軟性の高い顕微作業を実現するために,操作の対象物に破損や性質の変化などの影響を与えることが少ない微小液滴制御によるマイクロマニピュレーションツールを開発する.さらに,実際に顕微作業システムのユーザが利用しやすいように,立体的なパーツのアセンブリが可能な顕微作業支援インターフェースを開発し,より実用的なシステムの構築を目指している.以下に本年度の研究成果を列挙する. 1 液架橋力を利用したマイクロマニピュレーションシステムの操作インターフェース部分の設計・制作をおこなった. 2 単眼顕微鏡画像を画像認識することにより,作業支援のための3次元モデルを生成した. 3 2の画像処理の精度を上げるために,背景モデルをもちいた背景差分を適用した. 4 生成したモデルをもちいた顕微作業の作業支援情報をディスプレイに表示して,作業者の焦点エリア外にある部品位置とマニピュレーションの操作方向に対する認識について支援をおこなった. 5 マニピュレーションの入力インターフェースとして,力覚フィードバックインターフェースを追加し顕微作業の操作性を向上させた. 6 開発した支援システムの評価として,立体的なパーツの組み立て作業の作業時間を評価し,一般作業者の作業時間が支援ツールの効果によって60%程度短縮されることが確認された. 以上より,仮想現実をもちいた顕微作業システムの操作性の向上に関しては一定の成果を得ることができた.今後,液架力のより正確な制御が可能となれば,実用的に利用できるシステムが完成できると考えられる.
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