研究概要 |
本研究では,モジュラー・マルチレベル変換器(MMC)を用いたモータドライブに関して検討を行った。モジュラー・マルチレベル変換器はその冗長性と実装の容易さから,次世代型半導体電力変換器として実用化が期待されている。特に高圧モータドライブに適用した場合,電力品質や省エネの観点から優れた特性が得られる。しかし,MMCを用いたモータドライブの実験的検討および詳細な解析に成功した研究グループは,国内外の研究機関で存在しなかった。 本研究では,MMCを用いたモータドライブの実験的検証に世界で初めて成功した。高調波電圧低減,トルク脈動低減,電磁ノイズ低減等の優れた特性を示すことを実証した。また,ファン・ブロア負荷に適したモータ起動法の提案を行った。この起動法は,周波数を固定し,モータ電圧の振幅を調整することで,始動電流を抑制しつつ,所望する始動トルクを発生できる点に特長がある。提案した始動法をMMCに適用することで良好な始動特性が得られることを400V,15kWミニモデルを用いた実験的検証,およびPSCAD/EMTDCを用いた実験的検証より明らかにした。 本論文で得られた結果は,電気学会産業応用部門誌(査読付)に投稿し採択され,2010年4月号に二部構成(第一報:定常特性の検討,第二報:始動法と始動特性の検討)として掲載予定である。また,研究成果は当該研究分野で最も権威のある論文誌であるIEEE Transaction on Power Electronics(査読付)に投稿を行い採択され,半成22年度中に掲載予定である。 本研究の成果は,産業財産権を出願済みである。
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