研究概要 |
本研究では,モジュラー・マルチレベル変換器(MMC)を用いた無効電力補償装置(STATCOM)に関して検討を行った。モジュラー・マルチレベル変換器は正相無効電力のみでなく,原理的に逆相無効電力が制御できるため,アーク炉用ブリッカ抑制装置等,高速な正相・逆相無効電力制御,および低周波数の有効電力制御が要求される用途に最適である。しかし,MMCを用いた無効電力補償装置の実験的検討および詳細な解析に成功した研究グループは,国内外の研究機関で存在しなかった。 本研究では,MMCを用いたSTATCOMの実験的検証に世界で初めて成功した。アームバランス制御を提案し,これを適用することで,逆相無効電力制御時においても安定に動作することを理論的に証明した。提案したアームバランス制御法,および無効電力補償装置としての特性は200V,10kVAミニモデルを用いた実験的検証,およびPSCAD/EMTDCを用いた実験的検証により明らかにした。 本論文で得られた結果は,電気学会産業応用部門誌(査読付)に投稿し採択され,2011年1月号に掲載された。また,また,研究成果は当該研究分野で最も権威のある論文誌であるIEEE Transaction on Power Electronics(査読付)に投稿を行い採択され,平成23年中に掲載予定である。さらに,当該研究分野で最も権威のある国際会議であるIEEE Energy Conversion Congress and Exposition(査読付)に採択された。 本研究の成果は,産業財産権を出願済みである。
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