バッテリー充電装置の入力には商用交流電力が使用されるが、その整流時に生じる電流リプル抑制が効率の良いバッテリー充電には不可欠となる。既存の充電装置では、大容量の電解コンデンサを使用して強制的に抑制しているが、コストや体積がアップする問題がある。また、充電装置に使用される電力変換装置は、その性質上、低電圧大電流型の電力変換装置が必要となる。これらを踏まえ、本研究では電力変換装置として高周波リンクDC-DCコンバータを取り上げ、新しい制御方式や回路方式により上記の問題を解決することを目的としている。そこで、21年度上半期ではまず低電圧大電流型の高周波リンクDC-DCコンバータのシミュレーションによる基礎的な特性評価を行った。下半期には、交流入力に対する特性解析を行い、既存の充電装置との特性比較を行い、電流リプル低減効果について評価を行った。同時に、基礎実験の準備として、ドライブ回路や制御回路の製作を行い、22年度から行う実機による特性解析の準備を進めた。具体的に得られた成果を要約すると以下のようになる。 ○ 提案する高周波リンクDC-DCコンバータは低電圧大電流型として適用可能であり、提案する回路方式により、常にソフトスイッチング動作が行えることが確認された。 ○ 交流入力を整流するときに生じる電流リプルを大容量の電界コンデンサではなく、新たに提案した制御方式を導入することにより抑制されることが確認された。提案方式では、電界コンデンサ容量を既存システムの約1/12に低減可能である。 以上のように、シミュレーション解析ではあるが、提案システムは既存システムよりも電流リプル低減効果に優れ、コンデンサ容量を低減できることが確認されたことの意義は大きく、22年度の実験による検証に対して重要な成果が得られたと考える。
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