研究概要 |
平成22年度は、下記の2つの課題に取り組んだ。 ■課題(1)『超伝導コイルの磁場測定』 平成21年度に、Surface winding法を用いて製作した超伝導コイル(コイル内径:150mm,コイル長:810mm,ターン数:234,コイル層数:2,使用したNbTi超伝導線の径:1mm)の常温磁場測定を、京都大学 電気工学専攻 雨宮研究室において行った。磁場測定では、通電中の超伝導コイル口径内で、計測用コイルを回転させることにより生じる誘導電圧を解析して、超伝導コイルから発生する磁場を評価した。磁場測定結果を多極展開して設計値と比較したところ、測定値と設計値の差が非常に小さく、コイル製作精度の高さを実証することができた。 ■課題(2)『超伝導マグネットの設計研究』 平成21年度に作成した超伝導コイル最適化設計コードと汎用有限要素法コードを併用して、超伝導マグネットの設計研究を行った。超伝導マグネットは、26層の超伝導コイルの周りを、鉄カラー(厚さ:130mm)で囲み、更に、その周りを真空容器(炭素鋼)で囲んだ構造である。本マグネットでは、マグネット中心磁場が3Tとなるために、鉄カラーで磁気飽和が起きる。そこで、鉄ヨークの飽和の影響を考慮した超伝導コイルの最適化設計に取り組み、最適な超伝導マグネット断面の設計に成功した。また、コイル通電時に生じる電磁力が、超伝導マグネットにもたらす構造的影響も検証した。
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