極限環境動作型不揮発性メモリの作製を目指し、ボロン添加ダイヤモンド薄膜および強誘電体BiFeO_3積層膜構造の作製を試みた。 マイクロ波プラズマCVDを用いたボロン添加ダイヤモンド薄膜作製に関して、ダイヤモンド(100)基板上でダイヤモンドのホモエピ成長および表面平坦性の保持を両立する実験条件を確立した。また、非鉛強誘電体BiFeO_3に関してリーク電流抑制を目的とした元素置換材料を前述のホモエピダイヤモンド薄膜上にパルスレーザ堆積し、異相を一切含まないBiFeO_3の結晶化を実現した。 この結果は両材料を用いた強誘電体不揮発性メモリデバイス作製に向けた基礎プロセスがほぼ確立されたものと言える。また、現在までに同一プロセスによる高濃度ボロン添加ダイヤモンド薄膜上にBiFeO_3を堆積した試料を用いて、ダイヤモンド上に堆積されたBiFeO_3の強誘電性に関する検証を行い、強誘電特性の劣化を伴わない積層膜構造におけるメモリ動作検証に向けた基礎特性評価およびプロセス条件の改善を行っている。 今後は積層膜試料におけるBiFeO_3の強誘電性の保持とデバイス構造形成プロセスに適した試料作製および当該デバイスを用いた極限環境下における動作確認等が求められる。
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