研究課題
低炭素社会における液体水素冷却超伝導導体として、MgB_2超伝導線材による液体水素温度(20K)での運転可能な送電ケーブル応用を念頭に、多芯化等の大容量化や撚線加工に向けた最適断面構成や機械的特性の把握に努めて20kA級導体の設計に繋げることを目的にMg_2Cu化合物を添加源としたCu添加MgB_2/Ta/Cu線材の超伝導特性を検討するために、温度-磁場-臨界電流(T-B-lc特性)を測定した。その結果、冷媒温度の上昇に伴い、臨界電流値の低下が見られたものの30Kの冷媒温度・自己磁場での条件で300Aの臨界電流を示し、液体水素温度である20Kでの超伝導送電応用に見通しが得られた。さらに、線材価格の低廉化を目的にTa母材からFe母材への転換を検討した結果、Ta母材よりも良好な線材加工性を示した。次の段階として、Fe金属母材とした多芯線材の試作及び超伝導特性の把握に努める予定である。一方、MgB_2線材の新しい応用として、低誘導放射化特性を生かした中性子環境での応用を考慮して、原料であるホウ素の同位体効果を検討するために、ホウ素同位体(^<11>B:B-11)を原料としたMgB_2/Ta/Cu多芯線材を作製した。通常使用されるホウ素粉末は^<10>B(B-10)と^<11>Bの混合粉体であり、^<10>Bは反応断面積が大きく原子炉の中性子吸収体として使用される。この特性は中性子環境下では大きな影響があるために^<11>Bで作製されたMgB_2の超伝導特性が重要になる。^<11>Bで作製されたMgB_2線材の臨界温度(Tc)を測定した結果、これまでと同様なTc特性が得られ、生成されたMgB_2相には同位体によるTc特性の劣化が見られないことが明らかになった。
すべて 2010
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