Si(100)表面近傍に埋め込まれた個々のドーパント(リン)原子の電荷状態を調べるために、試料作製法の検討および作製された試料表面の確認を行った。リンの蒸着には、InPウェハーの小片からリン分子のみを蒸発させリン分子線を作り出し、シリコン表面に暴露する方法を用いた。走査トンネル顕微鏡(STM)観察から、Si(100)表面に吸着したリン分子は五種類の異なる吸着構造をとることを見出した。STM像のバイアス依存性と密度汎関数法シミュレーションの結果を用いて、それらの正確な吸着構造と電子状態を明らかにした。さらに、リン分子の吸着した試料を500℃程度で加熱することにより、リン原子を表面に埋め込むことに成功した。
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