研究概要 |
強誘電体高密度記録の研究に関連し,本年度は以下に示すような成果を得た. (1)HDD型強誘電体記録方式におけるシングルトラック・記録再生 従来のHDD型強誘電体記録再生試験装置を用いた記録再生速度に関する実験では,記録実験と再生実験が完全に独立しており,記録したビットを直接高速に読みだすといった実験は行われていなかったが,今回,初めてこれに着手し,一定の成果が得られた.具体的には,強誘電体記録媒体として単結晶LiTaO_3を用い,これを回転させながら書き込み用プローブを介して2ms周期のパルス波を媒体に印加し,書き込みを行った.次に,回転をそのまま継続させた状態でビットの読み出しを行ったところ,2ms周期の再生波形を得ることができた.これにより,HDD型強誘電体記録再生試験装置を用いた実験としては初めて,一連の記録・再生動作を連続して行うことに成功した.また,エピタキシャル薄膜LiTaO_3媒体を用いた実験においても同様の結果が得られることも確認した. (2)強誘電体ドメインのナノスケール選択エッチング 強誘電体記録の技術を応用し,ナノスケールで表面を加工する手法について研究を行った.具体的には,カンチレバー電極を用いてLITaO_3単結晶にパルス電圧を印加し,微小ナノドメインドットを生成.この後,結晶表面をフッ酸水溶液に一定時間浸し,選択エッチングを行った.LiTaO_3単結晶のフッ酸に対するエッチレートは極性によって異なり,プラス面のみを残すことができる.この手法により,直径50nm以下のドット形状の加工が可能であることを明らかにした.
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