研究概要 |
周波数軸上での振幅・位相変調による光パルス合成は,任意の光波形が合成可能なことから,様々な用途で研究されている.研究代表者は光ファイバ通信で利用される通信波長帯で光パルス合成が可能な光パルスシンセサイザの応用研究を進めている.本研究課題では合成したパルスを広帯域化と平坦化を中心としたスーパーコンティニュームコム光のスペクトル形状の制御に利用している. 本年度は光パルス合成の精密さがスーパーコンティニュームコム光のスペクトルの平坦性に与える影響について主に検討した.光パルスを合成するための変調信号は,合成した光パルス形状を評価後にフィードバック制御することにより最適化しているが,その評価方法を改善した.従来はパルスのピークパワーが高くなるようにフィードバックしていたが,パルスの背景雑音が残り,これがスペクトルの平坦性を悪化させていた.そこで,パルス形状を理想波形との差分が小さくなるようにフィードバックする評価方法に変更した.これにより光パルスの背景雑音が4dB抑制され,スーパーコンティニュームコム光の種パルス波長のピークが3dB抑圧され,スペクトルの平坦性が向上した. さらなるスペクトル幅の拡大のために,合成したパルスを圧縮し,パルスのピーク強度を上げる手法を試みた,通常は,圧縮前のパルス形状が固定のため,圧縮後の形状が固定であったが,圧縮前のパルス形状を光パルスシンセサイザにより調整することで,圧縮後のパルス形状を可変にした.さらに,その圧縮したパルスを種としてスーパーコンティニュームコム光を生成し,スペクトル形状は広がったが,スペクトル平坦性は劣化してしまったため,今後はさらなる検討を進める.
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