直径1.8mmの真球状の球状Siを作製した。X線回折測定よりほぼ単結晶状であることがわかったが、詳細は球状のままでは測定が困難であり、新たな評価方法が必要である。この球状Siをマウントするための予備実験を行った。Si(100)を支持基板とし、低融点鉛ガラスにより球状Siの着脱試験を行い、良好な結果を得た。今後は結晶成長を試みる。 発光層のGaInN多重量子井戸構造についてSi基板上とサファイア基板上で比較を行った。井戸層の厚さは2~4nm、周期(井戸数)は1~30まで変化させた。サファイア基板上では、PLピーク波長について、井戸数依存性がほとんど観察されなかった。PLピーク強度について、井戸数の増加に従いほぼ単調に増加していき、井戸数20で飽和した。一方、Si基板上では、井戸数1から3までは測定限界以下のPL強度であり、4QW以上でPLスペクトルが観察された。PLピーク波長について、サファイア基板上と異なり、井戸数の増加と共に単調にレッドシフトし、15QW付近で飽和した。PLピーク強度については井戸数10~15付近にピークを持つ傾向が得られた。このような傾向を示す要因を調べるため、15QW LED構造を用いて断面TEM観察を行った。MQW構造は通常の層状ではなく、(0001)面と(10-11)面から成るピラミッド状の形状が観察された。ピラミッドの間隔はサファイア基板上より狭く、貫通転位密度の多さを反映している。量子井戸の(0001)面成分はエピ面側に向かって厚くなっていた。(10-11)面成分も増加しているがわずかであった。PLピーク波長および強度のシフトから、(0001)面成分、すなわちピラミッドの中心が発光に大きく寄与しているものと考えたが、原子間力顕微鏡および蛍光顕微鏡観察より、発光領域の広い(10-11)面の寄与が大きいことがわかった。発光強度は(0001)面成分が強く、高出力LEDのためには(0001)面の成長を優先させる工夫が必要である。
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