研究概要 |
昨年度の研究では球状Siのマウント方法について検討し、Si(100)基板を支持基板として低融点鉛ガラスにより良好着脱性を得た。本年度は結晶成長の検討を行った。球状Siの面方位の特定について、当初ウェットエッチングにより特定面を露出させる方法を考えていた。しかしながら、エッチピットが大きく出てしまい、平坦面を階段状に露出させることができなかった。エッチャントの組成およびドライエッチングについて検討の余地がある。わずかな平坦面から類推されるSi(111)面を上向きに置き、GaNの成長を行った。球状Siの高さのため理想的なガス混合条件になっていないものと推測されるが、球状Si上および周りには多結晶が多数観察された。平坦面上について表面上の判断は困難であるが、エッチピット周りに成長した多結晶によりc面成長が阻害されていると推測された。平坦面の露出を増し、多結晶成長を引き起こすエッチピットを減らすことが球状Si上へのGaNの成長に必要である。エッチピットは結晶欠陥と関係があり、球状Si自体の結晶品質向上も必要である。 また、Si基板上GaNのその場結晶欠陥低減について検討を行った。その場結晶欠陥低減として、Si基板上にその場加することで有機金属ガスから生成した金属ドロップレットをSi基板に堆積・加熱し、金属中にSi元素を溶け込ませるメルトバックエッチングによりSi基板上に微小孔を形成し、その上に横方向成長させるものである。有機金属原料として一般的なGaN用MOCVD装置で使用するTMG,TMA,およびTMIを使用した。3つの原料の検討を行ったところ、適度な蒸気圧とSi取り込み量を有するGaが最も適していた。孔の深さは数10mmとそれほど深くないものの、GaNの横方向成長が可能であった。カソードルミネッセンス法により孔上のGaNの欠陥低減を観察し、本手法の有効性が示された。
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