研究概要 |
ホログラムにおける再生像は,観察者の目と再生像の延長線上にホログラム面がなくてはならない.このため,平面形状で広視域なホログラムを作製するためには,非常に大きなホログラムが必要となる.特に計算機で計算した干渉縞をホログラムとして出力する場合,ホログラムのサイズは計算量・出力時間共に増大するため,平面型で像が浮き上がるディスプレイを作製することは現実的ではない.そこで,形状を半円筒形状に変えることで,約180度近い視域を実現した. 干渉縞の計算においては,像が浮き上がるディスプレイの広視域化のため新たに光学モデルを構築した.計算する干渉縞の画素数が約100 Gpixelとなるため,新しい光学モデルに対応した計算処理をGPUに対応させた.これにより,約100 Gpixelとなる干渉縞計算を現実的な時間で行えるようになった.また,半円筒形状のホログラムに対応するよう隠面処理手法を改良したことで,広い視域を有するディスプレイにおいても,再生像に欠落や重なりがない鮮明な像を得ることができた. 出力したホログラムからの像再生においては,再生用の光学系を設計し作製した.このホログラムを再生するためには,垂直位置の同じホログラム面に対して照明光が全て同じように入射させなくてはならない。そこで,ホログラムの外側に半円筒状のミラーを配置し,ホログラム中心上部から入射させたレーザ光を回転ミラーにより反射させ,前述の半円筒ミラーによりそれぞれのホログラム面を照明させるようにした.これにより,再生像が観察可能な視域約180度にわたり鮮明な再生像を観察できるようになった.
|